町に戻り様子を確認すると、更なるイーサラスの襲来も無ければ町民がパニックを起こしている様子もない。 つまりはハルザートが懸念していた事は一切ない様子であった。 なので湖張達は特に行く場所もないので診療所に戻る事にした。 ラナナは再び宿に戻り槍の調査を再開しようかとも考えたのだが、今日は止めることにした。 というのも、数人のメーサ教の騎士が街の中を行き来しており、何らかの理由で槍を所有している事がバ […]
「中々のお手前で」 ハルザートが剣を払って鞘にしまう動作の途中で、後ろから話しかける湖張。 「フッ湖張も随分と腕が立つようだが」 とても小さな笑みを見せながら返すハルザート。 「言ったでしょう、腕っぷしは強いって」 「腕っぷしとは言っても、決して腕力が強いわけではあるまい?」 そう言うなり団扇に視線を移すハルザート。 「随分と変わった武器だな」 「まあね」 「湖張の武術はその武器を使うのか?」 苦 […]
メーサ教の騎士に連れられて町の外に出た湖張達。方角は南側。天気は快晴になっていた。 問題のイーサラスは500m程先におり、全速ではないにせよ、早めの歩行速度でこちらに向かってきている。 「てっきり町のそばに来ていると思ったけど、まだ距離があるね」 湖張がそう言うと、メーサ教の騎士が反応をする。 「ええ、望遠鏡で周囲を確認していたら発見をしましたからね。最接近前に知らせる事は出来ましたよ」 片手サイ […]
「はい、もう大丈夫ですよ。だけど我慢は駄目ですからね?」 左足の痛みを訴える男性を魔法で治療した湖張。 目覚めてから数時間が経過しており、現在はレドベージュと共に診療所にて治療を再開している。 一方ラナナは用意してもらった宿屋の一室を借りて、早速槍の解析を始めていた。 またゴルベージュは周囲の調査を行っている。 診療所には時折治療をしてもらうために人が訪れては来るのだが、 昨日の内に殆どが治療を受 […]
気が付くと、カーテン越しで柔らかくなった日の光を感じる湖張。 始めは寝付けなかったが何だかんだで眠れたようである。 診療所で寝ていたせいか、消毒液の独特な臭いを感じながらも体をゆっくりと起こす。 「おはようございます」 近くのベッドから声が聞こえる。その方向に視線を移すとベッドに腰を掛けながら髪をとかしているラナナの姿が目に入る。 「おはよう。寝られた?」 優しい笑顔で挨拶を返す湖張。するとラナナ […]
治療待ちの列をさばき切り、静かになった診療所。 時間も遅い事もあり、周囲は静かになっていた。 とはいったものの、再び魔物の襲来がある可能性もゼロではないので 警戒し見回りをしている町人の姿を確認する事が出来る。 そんな中で診療所の前にある長椅子に腰を掛けて夜空を見上げている湖張。 本来ならばベッドで横になっている時間なのだが、寝付けず夜風に吹かれていた。 「どうしたのですか?」 診療所の扉がゆっく […]
魔物を倒した後に町の中を改めて見てみると、荒れようは酷いものであった。 大地はえぐれ、家は焼け落ち、そして大勢の負傷者が出ていた。 戦闘に参加していなかったゴルベージュは、視界に入る人たちを治癒した後に消火活動を行っていたらしい。 流石天帝といったところだろうか、火災はあっという間に鎮火されていた。 この何処から手を付けて良いのか分からない状況の中で、一つの問題が解決できたことはせめてもの救いとい […]
荒れた町の中を走る一行。 その途中には負傷している人を何人か見かけたが、今は魔物を退治する事が先決と考え 胸を痛ませながらも先へ急ぐ。 その途中で湖張はレドベージュの横に並び話しかける。 「今の人たち、大丈夫かな?」 「うむ、心配ではあるが今は魔物をどうにかせねば」 「あの人たちの為にも急がないとね」 「そうなのだが・・・無理はするでないぞ」 心配そうなレドベージュに対して「大丈夫だよ」と簡単に返 […]
「レドベージュ!」 魔物の半身が地面に落ちた時に発した鈍い音を合図にするかのように、固まっていた体が動き出しレドベージュに駆け寄る湖張。 すると彼はゆっくりと体を彼女に向ける。 「すごいね、最初は傷つけるくらいだったのに本気を出したら真っ二つだもん」 感心するように湖張が伝えると、首を横に振るレドベージュ。 「いや、そんな事はないさ。むしろ最初からこうしろと咎められるかもしれん」 「そんな事は言わ […]
町中に入ると、その騒然さに一瞬戸惑いを感じる事となる。 というのも、確かに至る所で火災が発生はしているのだが、それだけではなさそうな人々の叫び声が聞こえてくるからだ。 声は火の手とは異なる方向から聞こえてくる。まるで何かに怯えている様な雰囲気にも感じられた。 「何だろう、様子がおかしいよ?」 声がする方角を向くが、建物が邪魔でその先が見えない。 そこで湖張は建物を回るように移動をし様子を見に行こう […]