2025年11月

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十四話【兄弟子の事情】

酒場の扉を勢いよく開ける湖張。相変わらず顔は怖い。そしてカウンターにてグラスを拭いていたマスターと思わしき男性を見つけるなり早歩きで近づく。 湖張の姿に気が付き何事かと驚いた表情で様子を窺い続ける男性。中年で頭髪が寂しいが顎髭は健在である。湖張がカウンターに手をつくと、勢いが止まり切らずにバンっと音が響く。 「アディットはどこ!?」 表情を緩めずに問いかける湖張。するとマスターからは驚きの表情は消 […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十三話【船が着いた港町】

穏やかな海が続き、航海は予定通り目的地の港に到着することが出来た。 船旅が終わる事を少し寂しく思う湖張ではあったが、 今度は船の上から見る活気あふれる港町に心が躍り始める。 背伸びをしながらゆっくりと下船をするラナナに「早く早く!」と急かす姿を微笑ましく見守るレドベージュ。ラナナは苦笑いで「その役、今日は逆なのですね」とつぶやいた後に、足を速めて湖張に追いつく。 「話には聞いていたけれども、凄いね […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十二話【船の上で】

眩しい日差し、独特の匂いを運ぶ潮風、そして見渡す限り広がる海。 湖張は静かな甲板に設置されている横長の椅子に腰を掛けて、飽きることなく海を見つめている。 三人はタウンの家を発った後、ゼンの言う通り南下し、そして船に乗った。 今はその航海の途中である。 ゼンが渡してくれたチケットは単なる乗船だけではなく、4人用の個室の使用権までついていた。またそれなりの効力があるサインもされていたようで優先的に乗船 […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百五十一話【タウンが見つけたもの】

「ごめん、待たせちゃったよね」 湖張たちが食事をしている最中に姿を現すゼン。そろそろ食べ終わりといったタイミングであった。 この日は何気ない会話をしつつの食事であったが昨夜と違い酒は入っていなかった。そのせいか少し落ちついてはいた。 「おつかれさん。まあ待ってはいたが食事をしていたんだ、待ちくたびれてはいないぜ」 タウンがそう声をかけると、彼の隣に座るゼン。そしてチウルが立ち上がり話しかける。 「 […]