ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十九話【隠された禁足地】

勢いよく開く宿の部屋の扉。何事かといった雰囲気で顔を向けるレドベージュ。すると慌てた素振りで部屋に戻る湖張とラナナを確認する。そうこうするうちに勢いよく閉まる扉。早歩きでレドベージュまで迫る二人。更に何事かと首を傾げる。 「大変大変大変!」 「ふむ、どうしたのだ?」 少し大きめの声を出す湖張にレドベージュは問いかける。すると彼女はジッと見つめた後に答えを返す。 「町の中にデスピエロがいた」 「何だ […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十八話【聞こえない呼び声】

白い空間。何も音が聞こえない空間。周囲がぼんやりとした場所に浮いているような気がするラナナ。 ただ目の前にだけは不思議な模様が存在している。いくつもの虹色に輝く細長いひし形の宝石が並び、雪の結晶のような模様を描いている。そして何も聞こえないはずなのに、何故だか自分を呼んでいる気がする。 そうこうしている内に、徐々に消えていく宝石たち。そして強い光に包まれたかと思うと、次第に瞼が開き、いつもの世界が […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十七話【七日後の様子】

草木が生い茂る薄暗い林の中を走り抜ける湖張。右手には畳まれた鉄扇を握りしめており、目の前にいる熊のような魔物であるベミドアに打ち込もうとしている。 村の悲劇から七日。一行はレドベージュの提案通り北西の保養所を目指している。相変わらず魔物との遭遇率は高く、今のような討伐をしつつ移動していた。 「はぁぁぁぁ!」 鉄扇で魔物の頭部に打撃を加えた後に回し蹴りを浴びせて吹き飛ばす湖張。素早い連携を決める。 […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十六話【決意を固めて】

湖張が少し落ち着きを取り戻した後、一行は深雪と別れた町に戻る事にした。距離的に一番近かったからである。 昼前の到着とはなったが、何処にいくわけでも、何をするわけでもなく、宿の部屋でただ時間を費やすだけであった。 部屋の端にあるベッドの上で壁に力なく寄り掛かって座っている湖張。目の下を腫らしながら今までの事を思い返している。そんな彼女に少し離れたテーブルの位置から優しく声をかけるラナナ。 「お茶を淹 […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十五話【花を捧げて】

「村の状況を確認しろ!誰か生存者が残っている可能性を捨てきるな!!」 兵士たちに指示を出す二刀流の騎士。魔物は討伐したものの、すぐさま事後処理に移る。 その一方で力なく地面に座っている湖張に近寄り、心配そうに声をかけようとするハルザート。しかし目の前で起きた事、少年の事を思うと何と言って良いのか、どう接すれば良いのか分からず思わず数メートル先で立ち止まってしまう。 「湖張、怪我は無いか?」 ハルザ […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十四話【黒い柱】

一夜明けて、新しい朝が始まる。曇り空ではあったが、雨の心配はなさそうではあった。その日は朝から魔物の調査に出る事が村中に伝わっており、朝食の支度や見送りの準備で村全体の動きも早かった。 ラナナはその様子を見ながら困った笑顔で湖張に話しかける。 「ちょっと周囲を調査しに行くだけなのに、大事になっていますね。お祭りの準備みたいですよ」 「そうだね。でもそれだけ魔物が居なくなる生活を期待しているんじゃな […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十三話【宿屋一階での打ち合わせ】

新たに出現した黒い異形の魔物を倒した後は、村人たちから今まで以上の歓声を浴びた一行。湖張の技によって文字通り腰を抜かされたが、少年の一声から村人たちも賞賛の姿勢に切り替わっていった。 今は夕暮れ時に差し掛かっていて村は普段通りの落ち着いた様子を取り戻しており、湖張たちは宿屋の二階にある滞在中の部屋で寛ぎながら会話をしている。 内容はラナナが本日メーサの騎士より得た情報であった。 「・・・という事で […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十二話【新しい黒い異形】

村の反対側に駆け付けると、村を出てから20メートルほど離れた位置に4匹の皮膚が硬い魔物が出現していた。ただ村に向かってきているわけでは無く、純粋に近くをうろついているだけという雰囲気である。 その様子を確認するとハルザートに話しかける二刀流の騎士。 「固いんだよな、あれ」 「ああ、大丈夫か?」 「問題ない」 簡単にやり取りを終わらせると、兵士たちに様子を確認する。全員準備が整った雰囲気である。 「 […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十一話【タウンからの増援】

「ハルザート殿、国の兵士が到着しましたよ!!」 村に入り、ハルザートの姿を見るなり大きな声をかけるメーサの騎士。今までに見せたことが無いくらいの声量だったので、気持ちが高ぶっている事が容易にわかる。 その声に反応をして視線を向けるハルザート。彼の傍らには右手に少年、左手に弟と手をつないでいる湖張の姿があった。 「兵士だ!!」 「こら、指を指さないの」 元気な少年を軽く窘めた後にハルザートに話しかけ […]

ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十話【メーサの騎士の証言】

臨戦態勢になり、身構えている皮膚が硬い魔物。それに向かってメーサ教の騎士は勇敢な声を上げながら槍を構えて突進をする。 「うおおおお!」 渾身の力で槍を突き出すと、皮膚が硬い魔物を一撃で仕留める騎士。 そしてすぐさま突き刺した槍を引き抜くと、近くにいる次の標的に攻撃を仕掛ける。 (あっちは大丈夫そうだね) 視線を騎士に向けながら心の中で呟く湖張。 現在彼女は村のすぐ外で魔物と交戦をしている。 元々は […]

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