「ねえおじいちゃん、昨日のうちに重たい物は買っておいたから後で確認しておいてね」 「うむ、分かった」 「あと、何か困ったら隣のおばちゃんに言うんだよ? 昨日、しばらく家を空けるからって伝えた時に、おじいちゃんの事もお願いしておいたからね」 「大丈夫じゃよ」 日が明けていつも通りの時間に起きた湖張。 いつも通り朝食を作り、そして老人と食卓を囲んでいる。 今日が旅立ちの日なので、思いついた事を老人に伝 […]
「どどど、どういう事じゃ!?」 慌てて立ち上がり、机に両手を勢いよく叩きつけると、部屋中に音が響く。 「どうって・・・うん、とりあえずこちらは天将レドベージュなんだって」 湖張が困ったようにそう言うと、レドベージュはどこからともなく花の蕾を取り出す。 そしてほんのり茎を握りしめた右手を光らせると、ゆっくりと花が咲いた。 「・・・またやっているし」 呆れた顔の湖張。一方老人はその様子を見てプルプル震 […]
「おおお、あの洞窟には、そしてその団扇にはそんな秘密があったのか!?」 洞窟で出会った火の玉の事、そしてそこで聞いた話を老人に話すと、目を丸くして驚く表情を見ることとなる。 老人は何の疑いもない様子で話を食い入るように聞いていた。 「話の内容、全部信じるの?」 自分は半信半疑で話を聞いていたこともあったのだが、 老人の反応があまりにも良すぎるので、あえてそう聞く湖張。 「当然じゃ。そもそも過去の言 […]
「ところでレドベージュ様は何か食べたり飲んだりするんですか?」 家路についている最中、答えは絶対に飲食はしないであることは分かってはいるが一応聞いてみようと思い質問をする湖張。 「・・・いや、特にこれと言って何かを飲食することは無いぞ」 そんな事を聞かれることすら想定外だった様子のレドベージュ。 「やっぱりそうですよね。家に着いたとき、何か出した方がいいのかなと思いまして」 「過去に何度か供物を差 […]
「流石にもう回復しないよね?」 確認をするように呟くと、軽く頷くレドベージュ。 「ああ、さすがにここまでやると、回復もできないであろう」 その答えを聞くと、団扇を見つめる湖張。 「それにしてもコレ、物凄い切れ味・・・ううん、切れ味とかそういうのじゃなくって 斬ってないところまで延長して斬れたから相当危険な物なんじゃないの?」 「そうだな、だから使える者を限定しているのであろうな」 自分のやった事が […]
茂みから姿を現したのは水牛のような黒い角を持った全長が3mほどある大型の獅子のような魔物であった。 薄茶色の毛で覆われた体に、赤い瞳を持った容姿は異端の魔物という雰囲気を醸し出している。 「これが作られた魔物なの?」 レドベージュに湖張がそう尋ねると、鞘から剣を取り出しながら答えが返ってくる。 「ああ、そのようだ。聞いていた特徴と合致する」 「この笛はさ、完成品じゃないって言っていたけど、やっぱり […]
「待て待て待て待て!敵ではない!敵ではない!!」 「うそーっ!このリビングアーマー喋った!?」 出会って早々、いきなり臨戦態勢の湖張に慌てるリビングアーマー。 その一方で本来喋るはずもない魔法生物であるリビングアーマーに驚く湖張。 双方とも想定外のことが起きて思わず大きな声が出る。 「とりあえず待て、我は戦う気は全くない。落ち着いてくれ」 最初に切り出したのは赤いリビングアーマーの方だった。 両手 […]
「そんな弱い明かりではやりづらかろう? せめて光は与えてやろう」 火の玉がそう言うと、どのような仕掛けかは分からなかったが、 突如として天井が光始め、広間全体が見渡せるようになる。 今まで薄暗くて分かりづらかったが、明かりがつくと改めて目の前にいる紺色の鎧の化け物は巨大であると感じる。 「相手は大きな鎧だけど中身はなさそう? 生きている鎧・・・リビングアーマーかな?」 「さあお主の力、見せてもらお […]
「・・・おかしいな、こんなはずじゃないんだけれど?」 やや高い声質の呟き。様子は落ち着いている。 年は16~17歳くらいであろうか。青い法被を身に纏った赤い瞳の娘で、綺麗な黒髪は背中まで届いている。 現在の彼女は洞窟の暗闇に包まれており、 唯一の暗闇への抵抗は右手に持っている僅かな光を放つランプのみ。 そしてその心もとない光は 自分の倍ほど大きく、そして威圧的な得体の知れない鎧の化け物を映し出して […]