ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第十話【事情説明】
- 2020.05.25
- ピースキーパー赤き聖者
- PeaceKeeper赤き聖者
「おおお、あの洞窟には、そしてその団扇にはそんな秘密があったのか!?」
洞窟で出会った火の玉の事、そしてそこで聞いた話を老人に話すと、目を丸くして驚く表情を見ることとなる。
老人は何の疑いもない様子で話を食い入るように聞いていた。
「話の内容、全部信じるの?」
自分は半信半疑で話を聞いていたこともあったのだが、
老人の反応があまりにも良すぎるので、あえてそう聞く湖張。
「当然じゃ。そもそも過去の言い伝えにもあったといったであろう?元々は軍配であったという話じゃ。それと一致するではないか。
疑う余地はないぞ。ましてやゴルベージュ様からの授かり物だなんて、これほどありがたい事は無い。例え誰がなんと言おうが、わしはこの話を信じるぞ」
興奮気味の老人を見て苦笑いの湖張。素直に信じられなかった自分がおかしいのではないかとも思えてくるぐらいの妄信気味な様子である。
そんな湖張の思考には気づかず、老人は髭を触りながら口を開く。
「それにしても、まさかあの洞窟がその話を伝えるためにあったとはのう。
確かに昔は免許皆伝の暁には団扇を持って洞窟に行かせることが習わしだったようだが、
今となっては団扇を持っていくことは無くなっていたし、分からなくなることも無理はないのう」
「おじいちゃんは持っていかなかったの?」
老人の話に疑問を感じた湖張がそう尋ねると、老人はお茶を一口だけ飲んでから答える。
「そうじゃ。むしろワシがこの団扇を始めて手にしたのは、ワシの師が遺言を書くくらいの年を取ってからじゃ。その時にはとっくに免許皆伝はしておったわい」
「そうだったんだ」
老人は自分の育ての親であると同時に武術の師でもあり、その強さをよく知っている湖張。
なので老人が団扇に選ばれなかった事が疑問であった。
しかし、そもそも団扇を持って洞窟に行っていないだけと知ると、妙に納得がいった。
そして、ここまで天の存在に対して信じてくれる姿勢から、レドベージュについて話しても何ら問題ないのではないかとも感じた。そこで、本題であるレドベージュについて話をしようとする。
「さてと、とりあえず洞窟の話はここまでなんだけど、
もう一つ話したい事があるんだよね」
改まって湖張が話を切り出すと、老人は「ふぉっふぉ」と笑いながらレドベージュを見る。
「そうじゃろうそうじゃろう、こちらのお客さんの事じゃろ?
ただあれじゃぞ?今さっきの話がとても凄い内容じゃったから、後はどんな事を話されてもそう簡単には驚かんぞ?」
機嫌が良い老人の様子を見ると、もう何でも受け入れてくれそうな雰囲気を感じ取れる。
なので、とりあえずストレートに伝えてみようと考える湖張。
感情表現は豊かな方なのだが、一流の武人でもある。落ち着いた反応をするとも思えた。
「いや、別に驚かそうという気持ちはないんだけど・・・。
まあいいか。とりあえず紹介からするね。
こちらは天将レドベージュ。赤き聖者に私をスカウトしに来たの」

「ふぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?」
そう簡単には驚かないはずの老人から、近所の家にまで響くくらいの声が発せられた。
どうやら落ち着いた反応をする見立ては外れたらしい。
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