「何だお前たちは!?」 家に入ってきたのは紺色のローブを纏った50代ほどの男であった。 白髪のくせ毛が特徴的で、目つきは決して良くは無い。 ただ、その目つきは目の前に侵入者がいるので当たり前といえば当たり前である。 「ここで何をしている!?」 男が怒鳴って威嚇をするように質問をしてくるが、湖張は臆せず腕を組んで堂々とした姿勢で答える。 「アナタこそここで何をしていたの? あの桶に入っているものは汚 […]
「とりあえず覗いてみようか?」 慎重に近づいた二人は一旦窓の下で隠れるようにしゃがみ込み、小声で相談をする。 人の気配は感じないものの、何が潜んでいるかは分からないので胸がドキドキしてくる。 しかしこれは緊張や恐怖からくるものではなく、むしろ子供のころに探検をした時のワクワク感に近いものがあった。 ゆっくりと窓から部屋の中を覗き込む二人。 レドベージュは背丈が足りないので、魔法でゆっくりと浮遊して […]
「さて、とりあえず外に出たわけだけど、どうしようか?」 勢いで外に出てきた二人は、宿屋の前で一度立ち止まり作戦会議を始める。 部屋の中で方針を決めてから出ればよかったのだが、思考より勢いの方が勝ってしまったようだ。 「そうだな、とりあえずこの淀みを辿ってみるか?」 レドベージュが上を見ながらそう呟くと、目を丸くして驚く湖張。 「え?分かるの?」 まさかそんな便利で都合が良いことが出来きようとは思い […]
食事が目の前に提供されると、黙々と食べる湖張。 村から町まで歩き、程よい運動をした後なので少し早い時間ではあったが美味しく食べられた。 出てきたスープはクリームスープではあるのだが、独特のスパイスが効いており一風変わっていた。 少し舌に刺激を感じるものの、かえってその感覚が癖になる。 また、パンとの相性も抜群で、気が付いたら食事が終わっている程であった。 どうやらこの食堂は当たりのようだ。晩御飯も […]
二人が町に入ると、長閑な街の様子が目に入ってくる。 買い物に出ている女性、走り回って遊ぶ子供たち、屋台で食事を提供している男性など 特に問題は感じられない空間が目の前に広がっていた。 案の定、すれ違う人々は”レッド君”を不思議そうに見るが、無反応を貫くレッド君。 特に子供たちの興味の目は強く、恐る恐る触ってくる子もいたがレッド君は反応をせずに黙々と湖張の後をついていった。 このようにレドベージュが […]
「じゃあ行ってくるね」 家の前で見送る老人に湖張が小さく手を振って老人に挨拶をすると「頑張るのじゃぞ」と返ってくる。 二人には特に寂しいという雰囲気は無く、まるで仕事に出かける家族を見送る様子に近かった。 なので特に別れを惜しむ事もなく村を出て街道を進む湖張とレドベージュ。 とても天気が良く、気持ち良い日差しが降り注いでくる。 時期的に草木が元気に生い茂り始める季節で、緑色をより強く感じる景色だっ […]
「ねえおじいちゃん、昨日のうちに重たい物は買っておいたから後で確認しておいてね」 「うむ、分かった」 「あと、何か困ったら隣のおばちゃんに言うんだよ? 昨日、しばらく家を空けるからって伝えた時に、おじいちゃんの事もお願いしておいたからね」 「大丈夫じゃよ」 日が明けていつも通りの時間に起きた湖張。 いつも通り朝食を作り、そして老人と食卓を囲んでいる。 今日が旅立ちの日なので、思いついた事を老人に伝 […]
「どどど、どういう事じゃ!?」 慌てて立ち上がり、机に両手を勢いよく叩きつけると、部屋中に音が響く。 「どうって・・・うん、とりあえずこちらは天将レドベージュなんだって」 湖張が困ったようにそう言うと、レドベージュはどこからともなく花の蕾を取り出す。 そしてほんのり茎を握りしめた右手を光らせると、ゆっくりと花が咲いた。 「・・・またやっているし」 呆れた顔の湖張。一方老人はその様子を見てプルプル震 […]
「おおお、あの洞窟には、そしてその団扇にはそんな秘密があったのか!?」 洞窟で出会った火の玉の事、そしてそこで聞いた話を老人に話すと、目を丸くして驚く表情を見ることとなる。 老人は何の疑いもない様子で話を食い入るように聞いていた。 「話の内容、全部信じるの?」 自分は半信半疑で話を聞いていたこともあったのだが、 老人の反応があまりにも良すぎるので、あえてそう聞く湖張。 「当然じゃ。そもそも過去の言 […]
「ところでレドベージュ様は何か食べたり飲んだりするんですか?」 家路についている最中、答えは絶対に飲食はしないであることは分かってはいるが一応聞いてみようと思い質問をする湖張。 「・・・いや、特にこれと言って何かを飲食することは無いぞ」 そんな事を聞かれることすら想定外だった様子のレドベージュ。 「やっぱりそうですよね。家に着いたとき、何か出した方がいいのかなと思いまして」 「過去に何度か供物を差 […]