ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第四十話【ダイアント退治完了】
- 2020.09.05
- ピースキーパー赤き聖者
- PeaceKeeper赤き聖者, 小説
「おーい!もういないのかなー?」
水辺に向かって大声で問いかける湖張。
しかし彼女の声に反応する事もなく、先ほどまでわらわらと湧いて出てきていたダイアントの姿を見る事は無かった。
「これで終わりなのでしょうか?
少し気になる事があるのですよね。というのも兵隊役以外のダイアントはまだ巣の中にいるのではないのでしょうか?」
ダイアントの存在自体は知ってはいたものの詳しい生態までは知らないので、男性にそう尋ねるラナナ。
すると彼は首を横に振る。
「確かに良い着眼点だね。ただダイアントは全員で巣を守る習性もあるから
もし兵隊役がやられたら、兵隊役ではない他のダイアントが代わりに戦いに出るんだ。
裏を返せば、戦いに出るダイアントがいなくなった時は巣には一匹も残っていないという事だよ」
「ではこれで解決という事ですか?」
「うん、そう考えてもいいだろうね」
男性がそう答えると、レドベージュはダイアントの巣のところまで下りて確認をしに行く。
「・・・ふむ、この巣の中には何の気配もない。もう大丈夫であろう」
「やった!」
レドベージュの見解を聞くと、手を組んで喜ぶラナナ。
赤き聖者の初仕事が無事に終わって嬉しいようである。
「とはいったものの、念のためにこの巣穴は埋めておくか」
そう言った後にレドベージュは穴の近くで小さな爆発を起こし入り口を崩して、出る事も入る事も出来ないようにする。
「そうしましたら、私も仕上げに入ります」
目標を退治する事だけが赤き聖者の仕事ではないと感じ取ったラナナは、
自分に出来る後処理を思いついたのか水辺に向かって魔法を放つ。
それは青い霧のようなもので、ダイアントの巣があった場所の辺りを包み込んでいった。
「一体何をしているんだい?」
男性が不思議そうに尋ねると、ラナナは微笑みながら答える。
「毒の浄化ですよ。もうダイアントは居なくなったのですから必要ないのかなと」
その答えを聞くと、申し訳なさそうな顔をする男性。
「ああ・・・ごめん」
「あ、いいえ!そんな誤らないでください。むしろ仕方がなかった事じゃないですか」
「そう言ってくれると助かるよ。
でも今日の分の毒はタイミングが悪かったね。もう少し待てば君たちが来てくれていただろうから撒く必要は無かったね。
そうしたら毒の浄化までやってもらわなくて良かったのに」
彼が申し訳なさそうにそう言うと、首を横に振るラナナ。
「いえ、たとえ今日撒かなくても、ダイアントの巣の周りは昨日までの毒がしみ込んでいる部分があるはずです。
それも浄化しないといけませんので、どちらにせよ浄化の魔法は必要でしたよ」
「・・・ごめん」
無意識のうちに更なる追い打ちを仕掛けるラナナ。
毒を撒き続けた事により、周囲に毒をしみ込ませて汚染させたという事を指摘したようなものであった。
その様子に気づいた湖張は、フォローするように話しかける。
「まあまあ、そう落ち込まないでくださいよ。
毒がなければ私たちもダイアントの存在に気づくことが無かったのですから、必要だった事ですよ。
それにほら、事件は解決したじゃないですか?
そんな顔より笑顔の方が似合う場面ですよ」
「・・・ははは、その通りだね」
何とか男性は苦笑いではあったが持ち直してくれそうだったので、一安心の湖張。
「それじゃあとりあえずこれでお開きという事で良いのかな?」
湖張が全員を見渡しながら同意を求めるように聞くと、頷いて答えるレドベージュ。
一方男性は埋められたダイアントの巣を覗き込みながら返答する。
「そうだね、とりあえず大丈夫だと思う。
でも念のためもう少しだけ周囲を見回ってから帰ることにするよ。
ひょっとしたら巣は他にあるかもしれないからね」
「あー・・・」
そう言われると、自分たちも見回りに協力しないといけないかとも思えてくる湖張。
そこでどうするべきか意見が欲しいのでレドベージュに視線を移すと、彼は首を横に振る。
「ふむ、確かにその可能性はゼロではないが、今までここ以外は見つからなかったのであろう?
だとすればこの付近にはもういないと考えられる。
人の声に反応する事からダイアントは決してひっそりと生息するものではなく見つけやすいものだ。
もし他の場所にもあるのであれば、とっくに見つかっているさ」
レドベージュの話を聞くと、男性は「まあ確かにそうなんだよね」と薄っすらとした笑顔で答える。
「そうしたらこうしましょう。今日は赤レンガの宿屋に泊まっていますので、もしまたダイアントがいたなら私たちを呼んでください」
「赤レンガの?ああ、あそこか!」
「うむ、その流れが良いな」
このまま当てもなく池の周囲を探索するのもどうかと感じていたので、出した案は全員からすんなりと受け入れられた。
そして男性とは簡単に挨拶をした後にここで別れて、三人は宿の戻ることにした。
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