ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第二十八話【この惑星(ほし)と神について-2】

           

「ちなみに湖張よ、まだ本当に話したかった内容には、かすりもしていないが大丈夫か?」
「・・・多分」
頼りなさげな雰囲気を見ると少し考えるレドベージュ。
「ふむ、ではここからは重要なところまで簡単に端折るぞ。
そんなこんなで次第にこの惑星には海が出来て陸が出来て、山が出来て
川や池もできて、そして木々や草花、海藻といった植物も根付き、
様々な魚や動物が特に誰の手によってではなく、自然と住むようになった」

「自然と?」
「・・・何か気づいたか?」
話の中で湖張は何か心の中で引っ掛かった言葉を呟く。するとレドベージュはその様子に感づき何かを試すように問いかける。
「ねえレドベージュ、神様っているんだよね?」
「うむ、いらっしゃるぞ」
「この世の生き物って最初は神様が作ったんじゃないの?」
「うむ、少し心配な雰囲気であったがそこに気づけるのであれば大丈夫そうだな。
そうなのだ、実は神は生き物を作ってはいないのだ。確かに中には天が関与している生物はいるが、
この世にいる生物は基本自然発生だ」
言葉には出さないが、目を少し大きくして驚きの表情を見せる湖張。

「ちょっと待って、この世のものの最初は神様が作り、そこから進化や変化をしていったような事が神話には書いてあったと思ったけど
それって違うの?私はあまりそっち方面は勉強していないから自信ないけど、
多分そんな雰囲気な事が書いてあったと思う。
元々そんなに信心深い方じゃないけど、アナタと出会ってからは神様が本当にいるのだろうと思ったから
神話は本当だったのだろうとぼんやりとは思っていたけど・・・違うの?」
「うむ、神話は神話だ。事実とは異なる」
「じゃあ神様って一体!?」

「うむ、それは話の続きを聞くことで分かる。
それは今から1万5千年程前の話だ。とある偉大なる意思がこの惑星に降り立ったのだ。
その方を我々は創世主様と呼んでいる」
「・・・」

「そして創世主様は、まず三人の神をこの地に作られた。
神の名は ”ラリゴ” ”ウーゾ” ”リンキ”と名付けられた。
この三人が神話で言う神に当たる存在だ。

そして創世主様はこの三神に一つだけの使命を託した。
それはこの惑星を永久に反映させることだった。

ただ、三神だけでは大変であろうという事で
次にそれぞれの神を補佐する永久リビングアーマーの従者を作られた。
それが我らだ」

そう言うとレドベージュは彫刻が施されている柱に近づく。
「まず我の右上に彫られている方が我が主ラリゴ様だ。
神話で主神と表現されているのはこの御方の事だ。
そしてラリゴ様の向かって左後ろにいるのが天将シャドゥベージュ、右後ろが天将ブルベージュだ。
最後にラリゴ様の右下にいる王冠をモチーフにしたような頭をしているのが
天帝ゴルベージュ。湖張の団扇の元々の持ち主だな。
この4体がラリゴ様の従者であり、天帝と天将としてこの世の平和の為に尽力している。
ちなみに一応ゴルベージュが4体のまとめ役的な立場だ」
「この神様がレドベージュの神様なの?」
「うむ、その通りだ」
「どんな神様なの?」
「そうだな・・・まあ愛想は無いな」
「何か意外。レドベージュとは真逆なの?」
「我もそんなに愛想は良くないと思うが」
「そうかな?」
「そうだ。さて、次の説明をするぞ」

今度は時計回りに柱を移動するレドベージュ。すると柱の彫刻は違う神に姿を変える。
そこにはガタイの良いラリゴ神とは雰囲気が真逆の男性のような神が目に映った。
前髪は目にかかりそうなくらいで、耳が隠れるくらいまで髪が伸びている。
ローブのような長い衣に身を包んでいるので体形の詳細は分からないが、華奢な印象を受ける。
一方従者と思われるリビングアーマーは一体だけではあったが、とても威圧的な雰囲気がある。
というのも、ヤギのような大きな角がその雰囲気に影響していそうである。
また、彫刻の表現方法のせいなのか足が見当たらないのも特徴的ではあった。

「さて、次だ。これはウーゾ神とその従者キュベーグだ」
「ウーゾ神?聞いた事が無い名前だよ」
「うむ、そうであろう。そもそも人々の語る神話には神の名前は出ていないからな。
そしてウーゾ神は神話で言うところの邪神に当たる存在だ」
「え?!」
「まあその経緯は後で説明しよう。まずは神と従者の紹介からだ」

そう言うとまた時計回りに移動する二人。すると今度は髪の長い女性の様な神が目に入る。
綺麗な顔立ちをしており美しさと、どことなく可愛らしさも兼ね備えた雰囲気である。
また、彼女の傍らには、ローブの様なもので包まれており、頭部以外はリビングアーマーと表現しても良いのか
判断に迷う従者と思われる者がいる。

「ここに彫られている方もリビングアーマーなの?」
「ふむ、先にそっちの方に興味が行ったか。まあ他の永久リビングアーマーとは様子が異なるから、それも無理は無かろう。
ここにいるのがリンキ神と、その従者リティーだ。
リティーの頭部は我らと同じく金属の様な感じだが、体は布の様な感じだ。異質ではあるが永久リビングアーマーでもある」
「最後の一人は女神様だったの?」
「うむ、その通りだ。この御方については神話に出ていない」
「そうなんだ」
「うむ、だがある地域でのみ伝承としては残ってはいるが、それはあまり知られてはいない事だ」

そこまで説明すると、レドベージュは手荷物から4㎡程の広さの敷物を柱から少し離れた場所に敷く。
「さてと、ここからは昼食でも取りながら説明をしよう。疲れたであろう?」
「いいの?何か罰当たりじゃない?」
「なに、構わんさ」
その言葉を聞くと、湖張は靴を脱いで敷物に上がり宿屋の主が用意してくれた弁当を取り出す。
中には野菜が多めに挟まっているパンが入っており、食べにくそうだが美味しそうである。
「いただきますと」小声で言ってから一口食べると、再び柱を見つめる湖張であった。

<NEXT→>
ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第二十八話【この惑星(ほし)と神について-3】
<←PREV>
ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第二十八話【この惑星(ほし)と神について-1】