ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第二十八話【この惑星(ほし)と神について-1】
- 2020.07.19
- ピースキーパー赤き聖者
- PeaceKeeper赤き聖者, 小説
階段を登きり最上階にたどり着くと、そこは10㎡程の白い壁で囲まれた細長く廊下の様な作りの部屋になっていた。
壁は薄っすらと光っておらず、代わりに天井が光っている。
そして部屋の左手側には両開きの大きくて重厚感のある金属製の扉が、何者も通さないかの如く立ち塞がっていた。
「この先が目的地なの?」
「うむ、その通りだ」
湖張のつぶやきにレドベージュがそう反応しながら右手で扉を軽く押すと、
自動で動くかのように、内側に扉がゆっくりと開き始める。先ほどまで感じていた威圧に近い雰囲気が嘘のようである。
扉の先は、同じように白い壁で囲まれた150㎡くらいの広間であった。
壁には何も描かれてなく、天井も薄っすらと光ているだけで全くと言っていい程に飾り気は無い空間である。
ただ、そんな広間にも異色を放つ部分が一つだけあった。それは広間の中央にある巨大な彫刻である。
その彫刻は塔の下からずっと伸びていた円筒状の柱に彫られているようで、近づけば人物の横顔まで分かるほどに立体的である。
そしてそこには長めのスポーツ刈りでガタイの良い男性が彫られており、その周囲に見慣れた存在がいた。
「これって・・・レドベージュ?」
見慣れた存在は、どう見てもレドベージュそのものであったので驚きつつも本人に確認を取る湖張。
するとゆっくりと頷くレドベージュ。
「うむ、その通りだ。まあ説明するにも順序立てた方が分かりが良いと思うので、とりあえず講義を始めるぞ。
気になることがあれば、その都度聞いてくれ」
そう言うと説明をじっくりするためか、レドベージュは柱に向けていた体を湖張に向ける。
すると同じように湖張もしっかりと聞く姿勢を見せるために彼の方向を向くことにする。
「ではこの星がどのような歴史の流れで今に至るかを説明するとしよう」
「ちょっと待って」
両手を小さく上げて静止するポーズを取り、いきなり話を中断させる湖張。
レドベージュも最初からだったので少し戸惑った様子を見せる。
「む?どうした?」
「いや、今 ”この星” って言ったよね?そう言えば出会った時もこの星の天将と言っていたけど、どういう事なの?
星って夜空に輝くあの星?」
少し難しい顔をする湖張。一方レドベージュは何かを理解したかのように小さく一度だけ頷く。
「うむ、確かに星に住んでいるというイメージは天文学者でもない限り中々持てるものではないな。ではそこの話もするとしよう。
ちなみに、湖張の言っている輝く星は恒星であって太陽に近い。
我が言った星はどちらかというと月の方が近いな」
「うん?その太陽と月との差は何なの?」
「そうだな、ざっくり言うと自ら光るか光らないか。そして大地があるかないかだな」
「え?月も光ってない?」
「いや、あれは太陽の光を反射して光っているように見えるだけだ。実際のところ、新月の時は月は見えないであろう?あれは自らが光っていないからだ」
「あー・・・」
「まあとにかくだ、我々が住んでいるこの場所は月のような球体の星・・・規模が大きいので区別するために惑星とでも言っておくか。
そういうものだという事を頭に入れておいてくれ」
「う・・・うん」
「では次に、どうやってこの惑星はできたかだ。
それは気が遠くなるほどの昔の話でまだこの惑星も太陽も無い頃の話だ」
「それはどのくらい前の話なの?3千年くらい?ひょっとして1万年とか?」
「いや、46億年だ」
「へ?」
「言ったであろう、気が遠くなると。まあ想像もできないくらいの桁ではあるな」
「そうだね。何か想像を絶する数字だよ」
「そうであろう。実は我にとっても同じことだ。では話を戻すぞ。
その46億年前だが、更にそれより前・・・今からだとどのくらいなのであろうな?50憶か100億か我も厳密には分からぬが、
その位前にある一つの太陽に似た星が寿命で爆発をしたのだ」
「寿命で爆発?寿命なのに爆発するの?」
「ふむ、そう言われてもピンとこないであろうな。確かに寿命と言われると静かに収縮していきそうではあるな」
「うん、そう思う」
「そうだな、では今の太陽を考えてみよう。太陽が見えると暖かくはないか?あれは何故だと思う?」
「え?太陽で何かが燃えているから?」
「うむ、その通りだ。実は太陽では常にある物同士がぶつかり合い、融合しているのだ。
そしてその時に生じるエネルギーによって熱と光を出し続けている。
だが、これもまた気が遠くなるような期間が経つと問題が出てくる。
というのもぶつかり合って融合してできた物は重く不安定で、それらが大量に増えてしまうとバランスが取れなくなり
星の大きさはどんどん膨れ上がっていってしまう。
「その結果、爆発するの?」
「いや、そこから更に星は温度が下がりエネルギーの元などを放出し続けて収縮し、
その圧力によって耐え切れなくなり爆発するのだ」
「う・・・うん」
「まあとにかくだ。遠い昔に大爆発が起こったと思ってくれ。
そして大爆発が起こると、その星だけではなく周りにあった月のような星や我らが住んでいるような惑星まで被害が及ぶ」
「爆発に巻き込まれるという事?」
「そう、その通りだ。一緒に粉みじんだ。まあ膨れ上がっている時点で飲み込まれている可能性もあるがな」
「穏やかじゃないね」
「うむ、だがそこからが新しい星の始まりでもある。
まず、その爆発でガスや塵になった物が次から次へと集まり一つになる。それを繰り返すことで再び光り輝く太陽の子供になっていったのだ。
またそれだけではなく、粉みじんになった塵たちが集まり月の様な星や我らが住む惑星のようなものが出来上がっていった。
これが46億年ほど前の話だ。
だが最初のうちは今の様な姿ではなく、海もない月の様な雰囲気だった。
だがこれまた長い年月をかけて空気が出来て水が出来てとゆっくりではあるが様々な条件の元、今の様な状態になっていった」
「空気や水はどうやってできたの?」
「む?それを聞くか?そうだな、星には物を引き付ける力が働いており、それが空気を惑星全体にとどめ続け、空気のフィルターみたいなものが形成され惑星全体に・・・」
「あーごめん、何となく疑問に思っただけだから大丈夫だよ。先に行こう。頭が付いていかない・・・」
「むう、そうであるか。まあそれはまた今度話す機会があればで良いな。そこは飛ばすぞ。
でな、水が惑星に現れて少しすると、小さな生き物が発生し始めた。ちなみにこのプロセスについては聞くか?」
如何にも質問してきそうな内容だったので、レドベージュはあえて確認を取る事にするが
首を振って聞こうとしない湖張。どうやら頭がパンク寸前のようである。
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