ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第二十二話【次の村へ】

           

ピースキーパー赤き聖者022話

「おおおおおお!出来た!!」
宿屋の部屋で湖張が大き目の声で感嘆の声を上げる。
というのも食事を宿屋の食堂で軽く済ませた後、早々に部屋に戻り洗濯の魔法をレドベージュに習っていた。

彼の言う通り難しい魔法ではなかった事と、湖張自身も魔法の才があった事が合わさり、
さほど苦労する事もなくあっさりと習得することが出来た。

「これ凄いね!わざとソースをハンカチにかけてみたけど綺麗になったよ!!」
興奮気味に湖張がレドベージュに話しかけると、嬉しそうに彼はうなずく。
今まで家では頑固な汚れに苦戦をしていたのだが、この魔法があれば今後は苦労しなくて済みそうである。

「魔法は戦いの為ではなく、こういう事の為に使うべきだよね!」
何気ない一言を湖張が笑顔で発すると、レドベージュは何かに驚いたように瞳を小さくして湖張を見つめる。

「ん?どうかした?」
その様子を不思議に思った湖張が首をかしげて様子を窺うと、慌てて首を横に振るレドベージュ。
「いや、何でもない。そうだな、全く持ってその通りだな。魔法は戦の為に使う物ではないな」
湖張の平和的な意見に同調するレドベージュ。そして再び湖張を見つめて話しかける。

「湖張のその考えは大変すばらしいものだ。
そう思える気持ちをいつまでも大切にして欲しい。
争いのない世の中に必要な物は、悪を倒す力ではなく、湖張のような考え方を広めることなのかもしれないな」
「・・・何よ急に畏まって」
「要するに赤き聖者に素晴らしい逸材が入ったという事だ」
「ちょっと止めてよ、恥ずかしいじゃない」

何気ない一言でまさかこんな風に受け取られるとは予想外であったため調子が狂ってしまった。
なので照れ隠しではないが、話を違う方向に持っていこうと考える湖張。

「ところでさ、今日はこれからどうする?」
「そうだな、とりあえずもうこの町には汚い魔力の淀みは無くなったし犯人も既に居ないであろう。
なので更に東を目指すぞ。今から出発すれば、日暮れ前までに隣の村には着けるはずだ」
「分かった、そうしたら直ぐに支度するね」

次の目的地が決まった事で、荷物をまとめてチェックアウト出来るように準備をする湖張。
とは言ったものの、荷物も少ないのであっという間に片付いてしまう。

「そうだ湖張よ、道中で昼食になるであろうからパンでも買っておこう。
腹が減っては何とやらだ」
「分かった。じゃあ最後に食堂によろうか。何だかんだでここの味は気に入っていたんだ」
「ふむ、そうであったか。ではそうするか」

そうやり取りをすると、部屋を後にする二人。
滞在日数は一日であったが、妙に濃い内容を過ごしたなと湖張は思いながら部屋の扉を閉めた。

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