ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百二十伍話【南の森のユカリ】

           

王都フィルサディアを出てしばらく南下すると、うっそうとした森が見えてくる。大きな山に隣接しているのも特徴的で、いかにも何かが出てきそうな雰囲気を出していた。

「勢い任せに飛び出しては来ましたが、ここまで広大だとどこにカテ草が生えているのか探すのも一苦労になりそうですね」
目の前の現実にうっすらと不安を口に出すラナナ。
「うむ、そうだな。それもあって我も同行したのだ。まあカテ草はこの森に生えている植物の中ではそこまで珍しい薬草ではないのだ。しばらく歩いていれば見つかるであろう」
「そうだと良いのですが・・・でもまあここで臆していても始まりません、進みましょう!」

両手の拳を握りしめ覚悟とやる気を見せると森に向かって進むラナナ。と、その時であった。奥から人が走ってくる姿が見える。

「助けてくれー!」
30手前くらいの男が怯えた様子でこちら側に向かって走ってきている。何かから逃げている様子だ。
「一体どうしたのですか?」
目の前に近づいてきたところで問いかけるラナナ。すると男は一度後ろを振り返り叫ぶ。

「ユカリだ!ユカリに襲われた!!」
「え!?」
男の訴えに目を丸くした後に森の奥を凝視する。しかしその方角には木々の影しか目に入ってこない。

「何もいないようですが・・・というかアナタ、カテ草を乱獲しようとしました?」
ジト目で男を見るラナナ。すると気まずそうな顔で答える男。

「あ・・・いや、カテ草不足と聞いたからよ、一儲け出来るかなって」
「だから襲われるのですよ。早く行ってください。そのユカリが追いかけてくるかもしれませんよ?」

その言葉を聞くなり血相を変えて王都に向かって走って逃げる男。ため息交じりに後ろ姿を見ながらレドベージュに話しかけるラナナ。

「やっぱりユカリは存在するようですね。そしてこの近くにいるようです」
「うむ、そのようだな」
「・・・行きましょう。正直ユカリの事は気になりますが、カテ草を持ち帰る事を急ぎたいです。時間が惜しいですからね」
そう言って男が飛び出してきた方向に進む二人。周囲には誰もいないようで静けさと日が届かないが故の肌寒さに包まれている。

薄暗さが続く道を少しずつ進む度に一本、また一本と大きな木がすれ違っていく。地面は草が全体的に生い茂っているわけでは無く、土の面積が多めではあったので歩きやすく、次第に速度も早まってくる。
耳を澄ますと水が流れる音がかすかに聞こえる。どうやら小川が近くにあるようだ。また、木の上の方からは奇妙な鳥の声が聞こえてくる。少し不気味である。

「奇妙な鳴き声ですね」
あまりにも不安になる声だったので、そう呟くラナナ。
「鳥だな。種類は分かるか?」
「さすがに鳴き声では分かりませんよ」
「だろうな。・・・それに何か警戒しているような声を出しているようだ」
「警戒?ひょっとして私たちが森に入っているからでしょうか?」
「うむ、そうかもしれんな」
「・・・急ぎましょう」

そう会話するなり先を急ぐラナナ。そして目の前の木の横を通過すると、少しだけ開けた空間にたどり着く。背の高い木々に囲まれ背の低い草が地面を埋め尽くしており、今まで歩いてきた道とは様子が違った。しかし一番の違いはそこではなかった。というのも広場の中心には体長が3m程で、全身が灰色の毛で覆われている大きな魔物が四足で立っている状態でこちらをジッと見ていたのだ。
大きな耳と黒くて縦長の鼻が特徴的で、気怠いような目をしている

「・・・これがユカリのようですね。聞いていた特徴通りです」
突然ユカリが目の前に現れたのだが、案外と冷静でいられたラナナ。視線はそらさずにレドベージュに話しかける。

「うむ、これがユカリだろうな。・・・ふむ、なるほどな。やはりそうか」
何かが分かったかのような素振りを見せるレドベージュ。その様子に疑問を持ったラナナが問いかける。

「どうかしましたか?」
「うむ、ユカリの正体が分かった。ユカリは魔物ではなく幻獣だな」

その言葉を聞くなり目を大きく開けて驚いた顔を見せるラナナ。しかしすぐさま通常の表情に戻り、納得をした素振りを見せる。

「幻獣ですか・・・まさかこの目で見られる日が来るとは思いもしませんでした。信じられません。ですが幻獣ならば色々と合点がいきますね」
「やはり幻獣についても知っているのだな」
「所詮は人の知識の範囲ですよ。レドベージュの知っている内容からすれば足りない部分も多そうです。まったく、赤き聖者をやっていると信じられない出来事ばかりですよ」
彼女の発言を聞くなり横目で表情を窺うレドベージュ。
「楽しんでいると捉えて良さそうな表情だな」
「そう捉えていただいて結構です。でもどうしましょうか、幻獣相手ですよ?」

ユカリにジッとこちら側を見つめられている状態ではあったのが、不思議と恐怖心はなく余裕のある表情を見せるラナナ。しかしどのように行動をすれば良いかは判断に困っている。

「うむ、ここは素直に話してお願いしてみても良いかもしれぬぞ」
「へ?言葉は通じるものなのですか?」
「分からぬ。だが人の思いの化身なのだ。こちらの思いも伝わる可能性はあるだろう」
「なるほど、無くはない話ですね。ですが先ほどの男性は襲われていたようです。危険なのでは?」
「だが敵意のようなものは感じられない。我々が乱獲をしに来たとは思われていないのであろう」
「・・・分かりましたやってみます」

そう言うなり一歩前に出て交渉に入るラナナ。深呼吸を一つして落ち着かせる。

「あの、私の大切な人が病気で苦しんでいるのです。一人分で良いのでカテ草を分けてはもらえませんか?」
まっすぐに訴えかけるラナナ。するとユカリは二足の状態に立ち上がり右前足で自分の背後の方を指し示す。

「ギュー」
不思議な鳴き声でラナナに話しかけるなり四足で歩く状態に戻って、のそのそと指し示した方向に歩いて移動するユカリ。そして数歩移動した後に立ち止まってラナナの方をじっと見つめる。

「ひょっとして案内してくれているのでしょうか?」
不思議とそう言っているように思えたラナナはレドベージュに確認を取ると、うなずきと共に答えが返ってくる。
「うむ、そのようだな。ついて行ってみるとしよう」
レドベージュもそう感じたようなので、ユカリの進む方向についていき始める二人。するとユカリは再びゆっくりと歩き始める。

一定の距離を保ちながら移動していると、先ほどユカリがいた場所よりも更に広い場所にたどり着いた。広場の横には小さな池もあり、水が流れる音がする。先ほど存在を感じた小川もこの池が関係していたのかもしれない。高い木に遮られた日の光が若干入り込んではいるのだろうが、うっそうとしており暗い空間であった。そしてその広場には背丈の低い濃い緑色の草がいっぱいに敷き詰められるように生えていた。

「ギュー」
広場に入ったところで立ち止まり話しかけてくるユカリ。するとレドベージュはその場にしゃがみ込み草を確認する。

「ふむ、この場に生えているのはカテ草だな。やはり案内をしてくれたようだ」
「本当ですか!?では早速いただきましょう」
そう言うなり片手で握りしめられるだけのカテ草を収穫するラナナ。そしてレドベージュに確認を取る。

「このくらいあれば大丈夫でしょうか?」
「そうだな、まあ大丈夫であろう」
その答えを聞くなり、手に持っているカテ草をポシェットにしまい込むラナナ。しかしその時であった、突如ユカリが急ぎ足で寄ってきてラナナの目の前で二足の状態で立ちふさがる。

「え?ええ?!」
ユカリの影に覆いつくされ戸惑うラナナ。そして次の瞬間、ユカリはその場に勢いよくしゃがみ込み足元のカテ草を長い爪を器用に使って収穫し、束にしてラナナの前に差し出す。

「・・・いただけるのですか?」
「ギュー」
心なしかユカリは優しい笑顔を見せたような気がする。
「うむ、どうやらそのようだな」
同様の捉え方をしたレドベージュ。そこでラナナは恐る恐るではあったがユカリからカテ草を受け取る。

「ありがとうございます」
礼を言った後、更に追加でしまい込むラナナ。予想以上の収穫量だったのでポシェットはパンパンである。

「うむ、正直なところ先ほどの量では十分な量の薬ができるかギリギリの所ではあったが、このくらいあれば安心ではあるな。ユカリはそれを見越してくれたのかもしれぬ」
「そうだったのですか。ありがとう」
ラナナが愛らしい笑顔を見せ再び礼を言うと、嬉しそうな雰囲気を見せるユカリ。

「では目的も果たせましたし戻りましょう。湖張姉さまが心配です」
「うむ、そうだな」
そうと決まるなり移動を始めようとする二人。しかしその時であった。上空からけたたましい何かの叫び声と共に木々の葉を突き破る音を立てて巨大な何かが50メートルほど先に落下してきた。それは広場の端の方であった。

「なに!?」
慌てた様子で落下物の方に視線と体を向けるラナナ。すると視線の先には目を疑うような存在が現れていた。

「グリーンドラゴン!?」
驚いたような口調で呟くレドベージュ。
目の前に現れたものは体長が8メートル程で大きな翼を持つ皮膚が緑色の竜であった。しかしよく見ると体のいたるところに傷を負っている。まるで何かと戦闘をした後のような傷つき方であった。

「どういう事でしょうか?」
視線はグリーンドラゴンに向けたままレドベージュに問いかけるラナナ。
「分からん、ただ様子がおかしい事は確かなようだ」
そう言うなりゆっくりと近づこうとするレドベージュ。しかしその気配を感じた途端、グリーンドラゴンは敵意のようなものを向けるようにこちら側に睨みを利かす。

「待て、我は天将レドベージュ。敵ではない」
突然、名乗り出すレドベージュに疑問形のラナナ。
「グリーンドラゴン相手に自己紹介ですか?」
「うむ、変に思うかもしれぬが、実はこの地方のグリーンドラゴンには知能が高い個体も多く、天と密接な関係があって今でも協力関係であるのだ。なので天将である我と分かれば牙をしまってくれるであろう」
「そうだったのですか!?」
またもや新しい新事実を知り興味の目を見せるラナナ。ところがグリーンドラゴンの様子は変わることはなく、その事は嘘であるかのような状態である。

傷ついた体を振るえながらゆっくりと起こす竜。そしてラナナの方に睨みを利かすと口を大きく開ける。

「・・・ダメ!」
一瞬近くにいたユカリを見た後に前に飛び出すラナナ。グリーンドラゴンがこちらに向かて襲ってきたのならば、近くにいたユカリにまで被害が及ぶと考えたからだ。すると次のタイミングでグリーンドラゴンは巨大な火球を口から吐く。

「全然協力関係じゃないじゃないですか!」
大きな声で訴えながら巨大な緑色の防御壁を展開するラナナ。すると火球は壁に当たり爆音とともに弾け飛ぶ。だが問題が発生する。直撃は免れたものの小さな炎が周囲に飛び散ってしまい、地面のカテ草に燃え移り始める。このままでは森が大きく燃えてしまうのではないかという懸念が頭に過る。

「こうなったら・・・」
そう言うなり近くの池に手をかざすラナナ。そして腕を上に振り上げると巨大な水の塊が宙に浮きあがる。

「消えて!!」
宙に浮いた水の塊を分裂させ、地面の火に目掛けて撒き散らすラナナ。すると上手い具合に鎮火させる。
「良かった。大惨事は免れました」
「うむ、大したものだ」
「ギュー」

レドベージュの賞賛の後にユカリも何かを伝えてくる。その声が聞こえるとラナナはユカリに話しかける。

「大丈夫です、ここは私たちが何とかします。あなたの森は守りますから下がっていてください」
そう伝えた後に数歩前に出るラナナ。するとレドベージュは彼女の隣に位置取りをし話しかけてくる。

「どうやら傷ついた事が影響しているのか錯乱しているようだ。見たところ知能が高い個体でも無いようで我らの言葉も理解できないと見える。生存本能で目の前の者を攻撃しているのであろう」
「要するにまだ襲い掛かってくるという事ですね?」
「うむ、そして先にも伝えた通り天との協力関係の存在でもあるのだ。ここで殺めたくはない」
「具体的にどうすれば良いのですか?」
「気絶させるか、追い払うかどちらかだな」
「それはどうすれば・・・」
「とりあえず剣は無しだな」

そう言うなり抜剣をせず拳を握りしめ走り出すレドベージュ。
「ちょっと、考えはあるのですか!?」
「ない!」
そう叫んだ後に高く飛び上がるレドベージュ。拳に赤い光を纏わせて上空から殴り掛かる。

「落ち着くのだ!」
天将の拳がグリーンドラゴンの額に命中すると、よろけて数歩の後ずさりをする。しかしその一撃で闘争心に火が付いたのか、殺意の形相でこちら側を睨みつける。

「・・・今ので決めないといけなかったのでは?」
あまりの迫力にたじろぐラナナ。するとその弱気を見透かしたのかグリーンドラゴンは目の前のレドベージュではなく、ラナナに向かって大きな叫び声を浴びせると、威嚇をするように巨大な翼を広げ、二足で走り突進してくる。

「ちょっとー!」
防御壁を張って凌ぐか、カウンターの魔法を浴びせるか突然の事だったので迷うラナナ。その一瞬の間にグリーンドラゴンは目の前まで迫ってきてしまう。
しかし次の瞬間、予想しなかった光景が目の前に展開される。
というのも、ユカリが両前脚を広げ丁字状にし、独楽のように高速で回転しながら飛び上がり、グリーンドラゴンの横面に体当たりを仕掛けたのだ。その結果、グリーンドラゴンは巨体であるのにもかかわらず横方向に突き飛ばされる。しかもかなりの衝撃だったようで、足をバタつかせ起き上がれない様子だった。

「・・・え?」
予想外の出来事であっけに取られてしまうラナナ。
「ギュー!」
固まったラナナに警戒を促すようにユカリは声を上げ、左前脚をグリーンドラゴンに指し示す。するとよろめきながらも再び立ち上がる姿が目に入ってくる。

「ぬう、まだ立つか」
予想以上にしぶといグリーンドラゴンに対し、再び拳に光を纏わせるレドベージュ。戦闘継続の覚悟を見せる。しかし次の瞬間、グリーンドラゴンは逃げるように空高く飛び去ってしまった。

「・・・逃げた?」
グリーンドラゴンが飛び上がった時に触れた木の葉が舞い落ちる様子を見ながら呟くラナナ。そのまま飛び去ったようで、再び姿を現す事は無かった。

「どうやら撃退できたようだな」
レドベージュが状況の終了を告げると疲れたように大きな息を吐くラナナ。肩の力も抜ける。
「はあ、何とかなりましたね」
「うむ、良くやったな」
「それにしても何でこんな事に・・・今のも幻獣というわけではありませんよね?」
「うむ、それはないな」
「そうですよね・・・ってこうはしてはいられません。考えるのは後ですよね!?」
「うむ、そうだな」

気になる事がいろいろとあったが、今はいち早く湖張のもとに戻りカテ草の薬を飲ませる事が先決だと気づくと、ユカリに向かって笑顔を見せるラナナ。

「急ぐので私たちは行きます。本当に色々とありがとうございました」
「うむ、達者でな」
二人が別れの挨拶を告げると、ユカリは首を少し傾げキョトンとした表情を見せる。その後、顔をラナナに近づけジッと見つめる。

「・・・どうかしました?」
「ギュー!」
問いかけに答えるかのように声を出すなり、両前脚を高く上げるユカリ。いきなり声を出したので何が起きたのか戸惑っているうちにボフンという音と共に白い煙がユカリを包む。

「何!?何!?」
目を閉じ、両腕で顔を防ぐようにして三歩ほど後ずさりをするラナナ。そして煙が収まったと感じ目をゆっくりと開けると、目の前には体長が50センチメートルほどになったユカリが二足で立っていた。

「・・・え?」
目が点になるラナナ。先ほどまで大きかったユカリがあっという間にぬいぐるみサイズになってしまったので当然である。何が何だか分からない状態になっていると、ユカリは飛び上がり、ラナナの左腕にしがみ付く。

「え!?えええ!?」
驚きっぱなしのラナナ。そんな事など関係なしにユカリは心地よさそうに声を上げる。
「ギュー」

「ふむ、どうやらラナナの事が気に入ったようだな」
「気に入った!?」
レドベージュの発言に対して大声で聞き返すラナナ。
「うむ、そんな気がしないか?」
そう言われるとジッとユカリを見つめるラナナ。

「なんとなくそんな気はしますが・・・」
「ギュー」
「・・・私についていきたいの?」
「ギュー!」

なんとなくそのような事を言っているような気がしたので口には出したが、実際の所はどうしたら良いのか戸惑うラナナ。レドベージュに確認を取る。

「どう思います?」
「おそらくはついていきたいと言っているのであろうな」
「とは言ってもですよ、ユカリはカテ草を守る幻獣なのですよね?私についてきたらその役目を果たせないのでは?」

そう言われると首を傾げたりユカリを見つめたりしながら少し考えるレドベージュ。そして答えを出す。
「いや、別に良いのではないか?そもそもユカリは、ここにいるはずのない存在であったのだ。なのでこの地を離れても影響はないさ。それにフィルサディアの者はカテ草を大切にしているようだ。心ある者がカテ草を守っていくであろう」

その言葉を聞くと、何かを思ったのかレドベージュをじっと見つめるラナナ。そして問いかける。
「レドベージュはユカリを連れて行くことに賛成なのですか?」
頷くレドベージュ。
「うむ、それも良いと考える。そもそも幻獣が様々な人と接しすぎるのもどうかと思うからな。もし人に捕らわれでもしたら少々厄介だ。それならば我々で保護をする意味も込めて共にいた方が良い」

そう言われると少し考えるラナナ。そしてうなずく。
「確かにそうですね。魔物ではなく幻獣と知られると心無い研究者達が群がる可能性があります」
「それに先ほどの戦いぶりを見ても、今後の助けにもなるのではと思えてな」

ここで心が決まったのか、小さく息を吐いた後に苦笑いでユカリに話しかける。
「そっか、じゃあ一緒にいきましょうか」
「ギュー!」
心なしか嬉しそうな表情を見せながら声を出すユカリ。ラナナの腕をほんの少しだけ強く握りしめる。

「ところで重くはないのか?」
左腕にしがみ付くユカリを見ながらラナナに問いかけるレドベージュ。
「はい、全く重くないですね。寧ろほとんど重みを感じません」
「そうか、なら良い。さて、湖張の事も気がかりだ。戻るとしよう」
「そうですね。予想外の事ばかりがありましたが、遅れを取り戻すために急いで戻りましょう」

そうと決まるなり数十センチだけ宙に浮くラナナ。
「私は大丈夫です。文字通り飛んで帰りましょう」
「ふむ、それも良かろう。疲れたら言うのだぞ?歩いてでも日暮れ前には戻れそうではある時間だからな」
「問題ありません。魔法の持久力には自信あるのですよ」
「そうだろうな」

会話が終わるなり地を滑るように魔法で飛んで移動する二人。走るよりもずっと早い速度で湖張の下に戻り始めた。

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