ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第四十五話【塔からの帰り道】
- 2020.09.26
- ピースキーパー赤き聖者
- PeaceKeeper赤き聖者, 小説
塔の最上階に30分ほど滞在をすると、一行はその場から離れることにした。
予想ではラナナは長時間滞在したがるものだと考えていたのだが、意外にもあっさりと満足したようである。
急に涙が溢れだした事が影響しているのかもしれないが、
それでも彼女は満足そうな顔をしているので問題は無いようだ。
帰りの道のりは行きとは違い、宿泊先である例の宴会好きな村に向かっていた。
もちろんラナナと出会った街に戻る事も可能なのではあるが例の村の方が近いという事と、
あれから魔物が再び出て居ないのかという確認もした方が良いという考えもあり、レドベージュは村の方を選んだようだ。
湖張にとってはこの道は二度目という事もあり、慣れたように下山をしていく。
また、ラナナの便利魔法によって途中にある登らなくてはいけない場所は、より早く通過する事が出来た。
下山をし川を渡ると、後は平坦な道を歩くだけである。
そこまで来ると、湖張とラナナは横に並んで会話をしながら道を進んでいた。
ラナナはすっかりと普段の調子を取り戻して話しかけてくる。
「私の故郷で伝わっているリティーさんですが、
実は子供位の背丈でローブ姿のお人形さんというものだったのです。
何か彫刻を見たら、本当にそんな感じでびっくりしました。
そしてとんがり帽子を被っていることにも驚きました」
「そうだったんだ」
「ちなみにその帽子だが、意外と簡単に取れるぞ。
何せリンキ殿が後付けで被せた物だからな」
彼女たちのすぐ後ろで話を聞いていたレドベージュが話しに混ざってくると、驚いた表情で振り返るラナナ。
「そうなのですか!?」
「うむ、出会って間もない頃に親愛の証としてプレゼントされたものだからな」
そう聞くと、更に驚いた顔を見せるラナナ。
「そうだったのですね・・・実は言い伝えではリンキ神がリティーさんに帽子をプレゼントしたというのがあるのです。
そのまんまだったのですね」
二人の話の内容を聞くと、顎に指をあてて少し考える仕草を見せる湖張。
「すると伝承とは言ったものの、実は本当の事を伝えていたのかもしれないね」
その発言に頷くラナナ。
「はい、どうやらその様です。
なので私たちの村の言い伝えを調べると、過去に何がったかを知る手掛かりになるのかとも思えました」
目を輝かしている様な雰囲気でラナナがそう言うと、湖張は苦笑いを見せる。
「本当に考古学的な部分が好きなんだね。それとも民俗学かな?」
「全てをひっくるめた未知への探求心ですね」
「あはは、何か壮大だな」
そうやり取りをした後に再び進行方向に視線を戻す湖張。
とその時である、湖張は急にその場で立ち止まり表情から笑みが消えた。
「どうしたのですか?」
「・・・何であの人たちがいるの?」
不思議そうに問いかけるラナナには視線を向けずに、そのまま正面を見つめる湖張。
「ふむ、特に狙ってもいないのだが、本当に何かしらの事が毎日のように起きる旅ではあるな」
落ち着いた様子でレドベージュも前方を見つめる。
そしてその視線の先には、先日拘束をしメーサ教の騎士に連れていかれた山賊たちが自由で呑気に歩いている姿があった。
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