ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第七十六話【明日の修練】

           

「相変わらずご飯が美味しいわね」
目の前のラザニアをジッと見つめながらそう呟く湖張。
現在は修練を終えた後の夕食の最中である。

本日は午前中からずっと修練鳥との戦いを繰り返していた湖張とラナナ。
連戦をしても特に問題はなく、順調に倒し続けることが出来た。
最初は全力で立ち向かっていたが、そのうち二人は効率を考え始め
いかに少ない力で倒す事が出来るかの試しも行っていた。
また、あえて魔法を放つタイミングをずらし上手い流れにならないようにして、
想定外の状況でも対応できるような練習も時折混ぜていった。
そんなこんなしているうちに昼食の時間になり、そして日が暮れていって本日の修練を終えた感じである。

「二人とも今日も修練を頑張った。だから空腹になったはず。だから美味しい」
美味しく味わっているところでウンバボがそう伝えると、今度は唐揚げに手を伸ばす湖張。
「それはあるかもね。でもウンバボは料理がとても上手だよ。明日の修練は料理にしようかな」
冗談交じりに笑顔でそう言う湖張。とても穏やかな時間である。

「そういえばレドベージュ、この修練場にはどのくらい居て良いのですか?」
食事をしながら何気なく尋ねるラナナ。
本日で3日が経過したのだが、どのくらい滞在して良いのか気になる部分ではある。

「そうだな、まあここに何か月も滞在する事は出来ないが、数週間くらいならば良かろう。
そもそも修練とは何年もの努力を積み重ねないと身にはならないものだ。
そう考えるとキリはないが、数週間、あるいは数日間でも自らと向き合い鍛える事で成せる事もあろう。
現に二人とも凄い速度で成長して得た事があるようだしな。
まだしばらくはここで過ごして良いぞ。これも必要な時間であると我は考える」
「成長かあ・・・成長ねえ」
レドベージュの話を聞くなりそう呟く湖張。何か心に引っ掛かる部分があるかのような素振りを見せる。

「どうかしたのか?」
「いや、何でも無いよ。気にしないで。
とりあえずラナナさ、今日で修練鳥は倒せるようになってきたからさ、
明日は奥にいる守護者に挑んでみようか?」
「守護者・・・ですか?」
湖張の提案を聞くと、一度口元に運ぼうとしたスープ入りのスプーンを器に戻すラナナ。
そして少し考え事をする。

「確かにこのまま修練鳥と戦うのも違う感じがしますね。
分かりました、明日は守護者と対戦してみましょう。
レドベージュはもう少しここに滞在して良いとおっしゃいましたが、それで倒せれば自信につながりますし、
駄目でも課題を見つけられるはずですね」
「そうだね、じゃあ決まり」

食事中に明日の打ち合わせをする二人。そしてその決定事項を聞くと、レドベージュは心配そうに二人を見る。
「ん?どうかした?」
その視線に気づいた湖張が不思議そうに尋ねると、彼はワンテンポ遅れてから答える。

「守護者は強いぞ。心してかかるのだ」
その忠告とも取れる話ぶりは、少し不安になるようなものであった。
「分かった。でも安心して、修練鳥を上手く倒せるようになったとはいえ油断はしてないから」
気を引き締めたように湖張がそう言うと、レドベージュは「そうか」と一言だけ返す。

守護者とは一体どのようなものなのか全く想像が出来なかったが、強力な相手であることは間違いがなさそうである。
最初に修練鳥と戦った時の様な無茶苦茶な内容にならなければ良いと心の中で思いながら、湖張は食事を再開する事にした。

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