ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第七十話【修練開始】

           

一時間ほど部屋でくつろいだ後、指示通り修練場に向かう三人。
修練とはいったものの、一体どのような事を行うのか謎のままである。
レドベージュが勧めた天の施設での修練という事もあり、そこまで無茶苦茶な内容ではないとは思えるのだが、
ウンバボが準備をしているという点では若干の不安は残る。
そんな事を考えつつ廊下を歩いているうちに、修練場の入り口と思われる扉の前までたどり着いた。

扉をゆっくりと開けて中に入ると、400平方メートル程の広さがある円形の空間が広がっており、その中心にはウンバボが腕を組んで立っている。
また奥には扉は無いのだが、三人が並んで出られるくらいな幅の大きな穴が開いており、更に奥に進めそうであった。
恐らくその先が修練場なのであろう。どうやら修練を積む場所も吹き抜けで空が見える場所ではなく、洞窟内の様子だ。

「時間通りに来たな。早速説明する」
近づくなり説明を始めるウンバボ。まずは後ろを振り返り奥の穴を指さす。

「あそこが修練場の入り口。あそこに入ると危険。油断しない。
逆にここは安全な場所。落ち着いて鍛錬を積みたい場合や考え事をする時に利用する」

「危険?危険なの?」
危険と言う聞き捨てならない言葉を口にしたので反応する湖張。
「そう、危険。あの先には修練鳥という鳥を放っている。
お前たち修練鳥と戦い修練を積む」

「鳥・・・ですか?」
ラナナが不思議そうな顔をしてそう尋ねると、ウンバボは両手を1m程広げてラナナに見せる。

「そう、大きさがこの位ある鳥。
でも魔法で作った鳥だから生き物ではない。倒しても心痛めなくて良い。
泥人形を倒している様なもの。
でも手練鳥は強い。気を付ける」

「強いんだ」
湖張がそう呟くと、ウンバボは一つ頷く。
「そう、強い。多分お前たち、最初は苦戦する。倒せないかもしれない。
危なくなったらここまで戻ってくる。この部屋には修練鳥入ってこない」
穴の前を指さしてそう説明するウンバボ。

「だからここが安全という事ね?」
「そうだ。だから初めはこの部屋の前で戦う方が良い。
そして修練鳥を問題なく倒せるようになったら更に奥に進む。
そこに守護者いる。それを倒したら修練終わり。お前たち強くなっている」
「守護者?それも鳥なの?」
「それは秘密。自分の目で確かめる。ただとても強い。心してかかる」

どうやらここでの修練は奥にいる者を倒す事で終わるようだ。
修練には終わりが無いと考えられるが、それではいつまでも終わりが見えないので、とりあえずの区切りとしての守護者なのであろう。
奥にいる強敵を倒せば修練が終わるという単純明快なルールは案外と面白そうでもある。

「さてと、二人とも準備は良いか?」
説明が終わった雰囲気を感じると、レドベージュは湖張とラナナに近づいてそう話しかけてくる。
「えっと、レドベージュはやっぱり参加しないのですよね?」
何となくそんな雰囲気なので、ラナナが確認を取ると、縦に頷くレドベージュ。

「うむ、我はまあ良かろう。
ここの壁は強固に作られておる。崩れる事も無いので思う存分やってみるが良い。
くれぐれも怪我には気を付けてな」
「分かった。とりあえずあの硬い魔物の事もあるし、ちょっと頑張ってみるよ」
レドベージュにそう告げると、目を合わせる湖張とラナナ。

「行こうラナナ、ここらで一つ強くなろう!」
「はい!」
元気よく歩き出す二人。その後ろ姿をレドベージュはジッと見つめている。
その眼差しは心なしか少し心配そうなものであった。

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