ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第五十五話【あれから二週間】

           

曇り空の中、全速力で走り続ける湖張。
また周囲は木々に囲まれており、天候も相まって暗い雰囲気を漂わせている。

超宴会の村を出てから一行は、予定通り北を目指していた。
しかしただ北を目指していたわけではなく、途中で立ち寄った町や村で魔物の被害を被っている案件があれば対処をしていた。
また、旅路の途中でも人に危害を加える恐れのある魔物を見つけては退治をしつつ三人の息を合わせて戦う練習をしていた。
よって進行速度としては決して早いものではなく、既にあれから二週間の時間が経ってしまったが、
その甲斐もあり大分要領が良い行動を取れるようになってきた感じはする。

そして今も魔物を見つけたので退治をしている最中である。
湖張の後ろには体調が3m程でトナカイの様な立派な角が生えている巨大な鶏の様な魔物が敵意を剥き出しにして追いかけてきている。

「よし、ここなら狙えるよね?」
そう独り言を呟くと、足元に緑色の光の粒を展開する湖張。
高く飛び上がる魔法を掛けたのだが、通常より広い範囲に光の粒を巻き散らす。

「気づいてよ、ラナナ!」
そう言って高く飛び上がる湖張。すると魔物の前方向から三発の光の弾が魔物に命中し、よろめかせる。
魔法の発生地点には両手を魔物に向けているラナナの姿があった。
湖張が派手に緑色の光の粒を展開していたので、飛び上がるタイミングが分かり、それに合わせて魔法を放った形である。

「ナイス!」
ラナナの魔法によってその場に立ち止まった魔物の様子を、湖張は空中で体を反転させて確認すると、開いた右手を目標に向けてかざす。

「サンダーボルト!」
上空から規格外である極太の雷撃を放つと、体勢を崩していた魔物は避けられるはずもなく直撃を食らい、その場に倒れこむ。

「やはりただでは終わらなかったな」
湖張の一撃を待っていたかのようなタイミングで飛び出してくるレドベージュ。
上空に飛んだ湖張は確実に上から隙を衝いてくると思っていたので、湖張が仕掛けてから飛び込むと決めていた様子だ。

そして彼も高く飛び上がり剣を真上から魔物に向かい振り下ろしながら降下する。
「悪く思うな!」
剣が魔物に触れると、接点から大爆発が発生する。
その時発生した爆風によって周囲の木々は大きく揺れ、多くの葉が舞い散っていく。

「・・・良い感じに皆で合わせられたけど、最後は少し派手過ぎたかな?」
戦闘が終わり、ゆっくりと近づいてくる湖張がレドベージュにそう話しかけると、
小走りでラナナも近づいてくる。

「そうですよ、最後のは威力が高すぎです。私まで転ぶかと思いました」
「ふむ、そうであったか。これで終わりにしようと思ったら、ついつい力が入りすぎたようだ。すまぬな」
剣を鞘にしまいながら軽く詫びるレドベージュ。
そしてその様子を見て苦笑いを見せる湖張であった。

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