ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第五十三話【グレルフとの闘いを振り返って】
- 2020.10.27
- ピースキーパー赤き聖者
- PeaceKeeper赤き聖者, 小説
「派手に吹き飛んだねー。あんなのを手軽にやっちゃうんだから、やっぱりレドベージュって凄いわ」
グレルフが一掃された様子なのでゆっくりと歩きレドベージュに近づく湖張とラナナ。
湖張が軽い雰囲気でレドベージュにそう話しかけると、ラナナもため息交じりで会話に入ってくる。
「それを言ったら湖張姉さまも凄いというか・・・言葉は悪いですがおかしいですよ。
サンダーボルトと言っていましたけど、普通はあんなに太くはありません」
「それを言ったらラナナだってもの凄い規模の光線を出していたじゃない」
「あれはああいう魔法で正規の大きさですよ」
「そうなの?」
「そうです」
そうやり取りをすると、小さく笑う二人。
そしてそのタイミングでレドベージュは剣を鞘にしまい二人に話しかける。
「大暴れしおって・・・それで今の戦闘で何か掴むことは出来たか?」
その問いを投げかけられると、腕を組んで少し難しい顔をする湖張。
「そうだね、得られるものは多かったけど、正直まだまだだと感じたね。
多分私は、ラナナにとって邪魔な位置取りを何度もしてしまっていたし、敵も向かわせてしまった。
そしてフォローに向かうために今度はレドベージュを孤立させてしまったもんね」
「でも乱戦でしたし、私に向かってきたグレルフは伏兵だったのです。仕方がなかったのでは無いのですか?」
「うーん、まあそうかもしれないけど、しっかりと反省はしておくよ」
「そうですか。採点が厳しいのですね」
「ラナナの立場からしたら、私とレドベージュはどうだった?何か要望はある?」
湖張がそう質問をすると少し考える素振りを見せるラナナ。
「・・・そうですね、私は狙えるところを狙っていただけですので、今のところは大丈夫です。
というより、途中から湖張姉さまはわざと狙いやすいようにグレルフを誘導していましたよね?」
「あれ?気づいた?」
「やっぱりそうでしたか」
「だって気持ちいいくらいに狙っては当ててくるんだもん」
「でもこの様に引き付けていただいて後ろから狙い撃つのも一つの戦法ですよね」
「そうそう。そうしたら次はもう少し囮役に徹してみようかな?
・・・いや違うな、そうしたらラナナに負担が増えちゃうから
援護を受けやすい位置取りを意識しつつ、隙を見て私も攻撃をしないとね」
そう考察をすると、今度はレドベージュに視線を移す湖張。
「レドベージュ的にはどうだった?」
「ふむ、そうだな」
レドベージュはそう言うと、ラナナを数秒見た後に湖張を見つめる。
「まあ特には無いな」
「何よそれ!」
少し考えていた素振りを見せていたのだが、何も言わないレドベージュに思わず突っ込む湖張。
「いや、湖張は自分なりに考えて課題を見つけているではないか。
ここで我があれやこれやと言えば混乱するしやり辛かろう?
それに今日の戦いで二人とも周囲がしっかりと見えている事が分かったからな。
特に心配はないさ。しいて言えば、油断はせずに怪我には気をつけろくらいだな」
割と好き勝手に行動したので、小言の一つでも言われるのかと思ってはいたが、
特に指摘する事もなく話を終わらせるレドベージュ。
寛容なのか本当に特に無いのかは、はっきりと判断がつかないが、
とりあえずは問題は無いらしい。
その様子を見るなり、まあいいかと思った湖張は、村の方角に視線を移す。
「それじゃあ宿に帰ろうか。早いところお風呂に入って、宴会に備えよう」
「あー」
湖張の言葉で宴会の事を思い出したラナナは遠い目をし始める。
「今宵は胃薬を飲んでから戦いに臨んだ方が良いのではないか?」
昨夜、満腹すぎてぐったりしていたラナナの様子を思い出したレドベージュがそう提案すると
ラナナは「そうですね」と苦笑いで答える。まさに宴会は戦いのようである。
緩やかな日差しではあったが、体を大分動かしたので少し暑いと感じられた草原の真ん中で、
これからの行く末を杞憂する姿は、呑気な内容ではあるが、戦々恐々とする部分も見受けられた。
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