ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第四十八話【超宴会を抜け出して】
- 2020.10.07
- ピースキーパー赤き聖者
- PeaceKeeper赤き聖者, 小説
その後は村全体があっという間にお祭りムードに包まれ、盛大に宴会が催された。
超という表現が付いていただけあって、今まで以上に豪華な料理が用意されており高級そうな酒瓶も並べられている。
また、何かあったら花火も打ち上げられ、飲めや歌えや忙しい雰囲気であった。
初めてこの村の宴会に参加したラナナは常にたじろいではいたので、湖張はその都度フォローをしていた。
しかしそれでも大量に運ばれる料理に苦戦する事となる。
流石に今回も主役の様な立ち位置ではあったので、そう簡単には抜け出す隙を見つけられなかったが、
それでも村人が大分出来上がり、派手に花火が上がったタイミングで宿屋の部屋に戻ることが出来た。
今回も予め風呂に入っていた事が功をなした形である。
部屋に戻るなり、ベッドに倒れこむラナナ。
「・・・もうだめ、体力的に限界です。そしてもう食べられません」
超宴会によって相当疲れたらしい。寝間着に着替える余裕も無さそうである。
その様子に苦笑いの湖張は甚兵衛に着替えながらレドベージュに話しかける。
「それにしてもメーサ教の騎士達が、またこの村に来ていたのは驚いたね。
ましてや話を聞く限り、あの硬い魔物についても何か知っていそうな感じだったし
何か怪しいよ」
そう言うと、ゆっくりとレドベージュは湖張に顔を向ける。
「うむ、あの魔物と何か関連があると考えた方が良いだろうな」
「そうだよね、粗方メーサ神に祈れば魔物を退治するとか言って信者を増やそうという魂胆だったのかな?」
「ふむ、それは十分に可能性があるな。
しかしあの硬い魔物をあの騎士達は倒せるのか疑問は残るな」
「でもそこまで攻撃的な魔物ではなかったし、案外どうにかなるのかもよ?」
「確かにそうとも考えられるな」
「私も着替える」
むくりと起き上がり、カバンを開けて白いネグリジェを取り出すラナナ。
時折ラナナの口調は素に戻る時があるのだが、そこを突っ込むと意識して硬くなると思えるので
あえて何も触れないようにする湖張。
疲れ果てた子供の様なラナナの姿を横目に見て小さく微笑むと
再びレドベージュに話しかける湖張。
「ところでさ、明日の予定ってもう決めているの?」
「いや、特には考えてはいないぞ?」
その答えを聞くと、ベッドに腰を掛けて前かがみで提案をする湖張。
「だったらさ、明日は近くに現れたグレルフの群を退治しに行かない?」
その提案を聞くとラナナは湖張に視線を移し、話の行く末を気にし始める。
「あのチラシにあったものか?」
レドベージュが確認をすると、頷く湖張。
「そう、それ。
というのもさ、戦い方の打ち合わせを一応はしたけれども
やっぱり実際にやってみないと分からないと思うんだよね。
例えば私が前に出てラナナが後ろから援護するにしても、
今のままでは私がどんな動きをするのかラナナは想像できないから迂闊に魔法は撃てないと思うし、
私もラナナがどんな援護をするのかイメージが沸かないから、
ひょっとしたらラナナにとって邪魔な位置取りをしてしまうかもしれない。
それは逆の立場になっても言える事だよ。
もし、ラナナに敵が向かって行った時、私はどういう立ち回りが一番効率良くララナの援護になるのかも知らないといけない。
更には何だかんだ言ってもレドベージュとも同時に戦った事が全然ないから
動きが被ってお互いに邪魔をしあう可能性もあるでしょ?
だからお互いに上手くフォローし合うには相互理解が必要不可欠だよ。
三人の得手不得手を各々が知ることで、うまくフォローしあえると思うんだよね。
だから初めのうちは、そこまで強くない魔物を相手に練習をするべきだと思うの」
湖張がそう提案をすると、納得をした素振りを見せながらラナナは湖張の隣に腰を掛ける。
「そうですね、確かにダイアントを倒した時は湖張姉さまと交互に魔法を撃っただけでしたので情報は少ないですね。
どのような動きをするのかが分かれば効率の良いサポートが出来ると思います」
同調をするラナナ。するとレドベージュも頷いて返事をする。
「うむ、確かにそうであるな。
それに村民の為にもなるであろう。では明日はそうするとしよう」
「良し、決まりだね。
いきなりは完全に出来ないだろうけど、少しずつこのメンバーでのやり方に慣れていこう!」
「うむ、そうだな」
「はい」
湖張の提案に対してにこやかに賛同する二人。
「私、頑張って二人を守るからさ、二人は私を守ってね」
微笑んで湖張がそう言うと、ラナナは再び「はい」と優しい顔で答える。
その表情を見ると、何となく安心できる気持ちになってくる。
そしてその流れでレドベージュに視線を移すと湖張は少し違和感を覚えた。
心なしか、彼は驚いている感じがしたからだ。
「・・・どうかしたの?」
心配になり尋ねる湖張。するとレドベージュはハッとした様子を見せた後に
首を横に振る。
「いや、何でもない・・・昔、同じような事を言っていた者がいてな、
少し驚いただけだ」
「そうなの?」
不思議そうにそう言うと、レドベージュはゆっくりと振り返り背中を見せる。
「ああ、アルスも同じような事を言っていた」
そう答えると、彼は剣を取り出してメンテナンスをし始めた。
その姿は不思議と哀愁が漂うようにも受け止められた。
アルスとは先日聞いた昔の赤き聖者の名前であり、ラナナが食いつきそうな話題ではあったが、
ラナナもその雰囲気を感じ取ったのか、話しかけられない様子である。
特に悪い事はしていないとは思うのだが、妙に気まずい雰囲気を感じ取る二人。
なのでその場は何もなかったような感じにして、早々に眠ることにするのであった。
<NEXT→>
ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第四十九話【天将の眠り】
<←PREV>
ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第四十七話【宴会の村、再び】
-
前の記事
ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第四十七話【宴会の村、再び】 2020.10.04
-
次の記事
ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第四十九話【天将の眠り】 2020.10.11