ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第五十七話【魔法生物を探して】
- 2020.11.08
- ピースキーパー赤き聖者
- PeaceKeeper赤き聖者, 小説
「よし、今日も曇り空だね」
一夜明け、出かける準備が終わり宿屋の外に出るなり空を見上げてそう言う湖張。
「曇りが良いのか?」
普通ならば晴れの方が喜ばれると思えるのだが、曇りをありがたがる湖張に疑問を投げかけると、
彼女は空を指さして答える。
「だって日差しが眩しいと、よく見えない時があるからね。
今日は少し気を引き締めていった方がいい相手だと思うからさ、少しでも不利な状況は作りたくないんだよね」
「ふむ、なるほどな」
レドベージュが納得をする横で、空を見つめるラナナ。天気の行方を気にしているようである。
「この様子ですと昨日みたいに急に雨が降るかもしれませんね。
いつ空が不機嫌になるかハッキリと分かれば良いのですが。
確かに昨日の情報収集で得られた事をまとめると、気を付けなければいけない相手ですよね」
「・・・そうだね、4m程の大きさで足は遅いけれども拳の一振りは早くて強力って言っていたよね。
一発で建物を壊したのでしょう?これは真面に一撃を貰ったら無事では済まないわ」
「では魔法で遠距離から攻めるか?」
「そうだね、基本はそうしたいけれども、そう上手くいくか心配なんだよね」
「何か引っかかる部分があるのですか?」
「うん、そんなに簡単にはいかないと思う。だって攻撃の一振りは早いんだよね?
それってその気になれば他の部位も早く動かせるんじゃないかなとも思えるの。
だから遠くから攻撃していれば安心とは言い切れないんじゃないかな?」
湖張がそう予想立てると、レドベージュは小さく頷く。
「ふむ、その考えを持てることは良い事だな。確かに我も今回は油断は禁物だと考えている。
本来ならば我が先陣を切って様子を見たいのだが・・・まあここは湖張を信じるとしよう。
湖張の方が身軽なので相手の攻撃を避けながらかく乱をして、ラナナが遠くから魔法を打ち込む。
我はラナナのそばで魔法による攻撃をしつつ不意の事態に備えておこう。
仮に湖張の読み通りに素早い動きを相手が取れるとなると、ラナナを狙ってくる可能性も十分にありえる。
その場合を考えて我は守りに意識を向けておこう」
「オーケー、そうしたら私は二人の邪魔にならない位置取りで引き付けるから、よろしくお願いね」
「うむ、くれぐれも無茶はするでないぞ?」
「分かってる」
小さい笑顔でそう答える湖張。そして一行は気を引き締めて街を出発した。
そして町を出てから二時間ほど経過すると、地面が剥き出しになった平原地帯に辿り着いた。
近くに池はあるものの、草の生育は良くないようだ。ひょっとしたら土の質が影響しているのかもしれない。
とりあえずは最近目撃された付近の捜索をしていたのではあるが、やはり中々見つかるものでもなく捜索は難航しそうであった。
「さてと、相も変わらず捜索が難航しそうな雰囲気なのだけれども、どうでしょうかレドベージュさん?
またふと視線を向けた先に目標を見つけられませんか?」
半分ふざけながら湖張がそう振ると、ため息交じりでレドベージュが反応する。
「まったく、そんな都合良く見つけられるわけなかろう。
今日が駄目だったら明日、それが駄目だったら明後日。
むしろ町で待ち構えても良いのだ。
むやみやたらに動き回って、いざ戦闘になった時に体力が残っていなければ目も当てられないからな」
「だからここら辺でパパっと見つけて欲しいかな?」
「だからそう簡単に見つけられるわけなか・・・ろ・・う?」
左方向を向きながら話をしていたレドベージュの口調が妙な感じになる。
あまり喋りに戯れを取り入れないのだが、妙に面白い言葉を発するので、物凄い違和感を感じる。
「どうかしましたか?」
不思議そうに尋ねるラナナ。
一方湖張はレドベージュの視線の先を見つめていた。
「ほらやっぱりすごいじゃんレドベージュ!きっとあれだよね?」
「やれやれ、今回も偶然だからな。変な縁起を担ぐのではないぞ?」
再びため息をつくレドベージュ。
というのも彼の視線の先には、恐らく標的で有ろう巨大な石造りの魔法生物がゆっくりと歩いている姿があった。
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