ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第八十九話【訪れた町の異変】
- 2021.05.15
- ピースキーパー赤き聖者
- PeaceKeeper赤き聖者, 小説
それからというもの、いつも通りの雰囲気で途中に会話を混ぜながら目的地の町まで向かった一行。
最初は話しながら移動しているとゴルベージュに不真面目と思われるのではないかと考え静かなものではあったが、
少しずつ試すように言葉を発していき、数時間後には湖張との話に花を咲かせるラナナ。
その様子をゴルベージュは気にすることも無く黙々と歩き続けている。
そうこうしている間に町の近くまで辿り着いたところでゴルベージュが話し始める。
「そろそろ町が見えてくる頃だ。
この坂を上りきったらきっとふもとにある町が見えるだろう」
「そうなんですか?何かあっという間でしたね」
ゴルベージュの言葉にラナナが反応すると、天帝は穏やかな声で返す。
「楽しそうに話していたから時間が経つのもあっという間であったのだろう」
「う・・・ごめんなさい」
ラナナが気まずそうな表情を見せるが、首を横に振るゴルベージュ。
「いや、悪い事はないぞ?こういう時にストレス解消が出来る事は心身ともに良いし
時間の効率的な使い方が出来ているという事だからな。むしろ称賛に値する」
「随分前向きな捉え方だよね」
ゴルベージュの反応を聞いてレドベージュにそっと伝える湖張。
「うむ、まあゴルベージュの言う事ももっともではある。
本来ならば淡々と長時間歩く事は大変な事なのだが、そうは感じないで移動できたのだ。
良い事さ」
レドベージュも同じような捉え方をしたところで、丁度坂を上りきる場所まで辿り着いた一行。
そして目的地の町がどのような感じなのかを少し楽しみにしながらふもとに視線を移す湖張たち。
「・・・ねえ、様子が変じゃない?」
確かにふもとには町が見えた。しかし何か違和感を感じる。
その場に立ち止まり目を凝らす湖張。すると至る所で煙が上がっている様に見える。
「火事か?」
そう呟くレドベージュ。確かに煙の上がり方としては、そう思えても不思議ではない。
「・・・いや、それだけでは無いな」
「え?」
少し浮かび上がりながらそう呟くゴルベージュに反応するラナナ。
すると天帝は三人に向かって声を掛ける。
「皆の者、飛ぶことは出来るな?
歩いて下るのではなく、飛んで下るぞ。時間が惜しいからな」
確かにここから町へ歩いて下るとなると到着までには時間が掛かりそうではある。
なので魔法で飛んで急行した方が早そうではある。
すると三人は頷いた後にゆっくりと魔法で浮き上がる。
「心配はしていませんけど、大丈夫ですか?」
湖張の様子を横から窺うラナナ。すると彼女は笑顔で答える。
「大丈夫だよ。あの町までくらいなら問題ないかな」
「流石湖張姉さまです」
そうやり取りが終わると、ゴルベージュに話しかけるレドベージュ。
「準備は良いぞ、まあ飛ばし過ぎるなよ」
「・・・遅れるでないぞ?」
そう呟くように言うと、移動を始めるゴルベージュ。
道の上では無く、崖から飛び降りるコースを飛んで降りる。
どうやら町への最短ルートを取っているようだ。
天帝に続く一行からは今までの和やかな雰囲気は消え、少し緊張感のある空気を纏い風の様に速く移動をしている。
そして瞬く間に町の入り口に辿り着くと、静かに着地をし一度立ち止まる。
「上空からでは煙が広がって見えづらいから、浮遊はここまでだ」
ゴルベージュはそう告げるなり、町の中へ急ぎ向かって行く。
それに遅れることなく、三人も町の中へ入っていくのであった。
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