ファンタジー小説「Peace Keeper 赤き聖者」第百七十七話【七日後の様子】
- 2026.08.18
- ピースキーパー赤き聖者
- PeaceKeeper赤き聖者, 小説
草木が生い茂る薄暗い林の中を走り抜ける湖張。右手には畳まれた鉄扇を握りしめており、目の前にいる熊のような魔物であるベミドアに打ち込もうとしている。
村の悲劇から七日。一行はレドベージュの提案通り北西の保養所を目指している。相変わらず魔物との遭遇率は高く、今のような討伐をしつつ移動していた。
「はぁぁぁぁ!」
鉄扇で魔物の頭部に打撃を加えた後に回し蹴りを浴びせて吹き飛ばす湖張。素早い連携を決める。
その後の湖張の様子はというと、三日間ほど空元気のようなものを見せてはいたが、今では切り替えができており普段通りの様子である。
「待ってレドベージュ!私たちでやるから無理しないで!!」
飛ばされた魔物に向かおうとするレドベージュに制止の声をかける湖張。
「いや、気をつかわなくて良いと言っておるだろう」
立ち止まり、ぼやくレドベージュ。左腕の再生こそしてはいないが、体中についていた傷は全て綺麗に消えている。
そうこうしている間によろめきながら立ち上がる魔物。
そのタイミングで側面から黄色い光弾が飛んでくると、魔物の顔をかすめる。驚いた様子で魔法が飛んできた方向を見る魔物。その直後に二発目の光弾が顔に当たりその場に倒れる。魔法の主はラナナであった。
「サンダーボルト!!」
湖張は右手から雷を放ち、倒れた標的を貫く。すると魔物はピクリとも動かなくなった。
「・・・終わったかな?」
動かなくなった魔物を見つめながらレドベージュに確認を取る湖張。頷く天将。
「うむ、そのようだな」
その答えを聞くとラナナに歩いて近づく湖張。
「お疲れ様」
声をかける湖張。しかしラナナは周囲をキョロキョロと見渡している。
「うん?どうかした?」
首を傾げて問いかける湖張。するとラナナは慌てた様子で手を振って答える。
「あっ!いえ、何でもありません!お疲れ様でした!!」
「そっか。まあ良いや。じゃあ行こう。ちょっと足止めを食らっちゃったからね」
「そうですね、隣の町までまだ距離があります。少し急ぎましょう」
そう言うなり歩き出すラナナ。そこにレドベージュが声をかける。
「待つのだ。そっちは逆方向だ。進むのはこっちだ」
正しい方角を指さすレドベージュ。苦笑いのラナナ。
「あー。うっかりしていました。すみません」
そう言って引き返すついでに湖張の手を引くラナナ。失敗を誤魔化すような明るい笑顔を見せる。
「さあ、行きましょう!」
「はいはい」
まあ良いかというような表情で手を引かれたまま歩き出す湖張。そして薄暗い林を抜けると、曇り空ではあったが少しだけ光が届く草原が目の前に広がり始めた。
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